大学生・社会人のための言語技術トレーニング

大学生・社会人のための言語技術トレーニング

大学生・社会人のための言語技術トレーニング


言葉を有効に使いこなすためのスキルである言語技術。本書には、言語技術の必要性と、言語技術を向上させるための方法が記述されている。
内容としては「論理的思考」といったタイトルの本と近いのだが、違うのは本書ではその対象を絵画や文学にまで広げている点。一見芸術作品と論理的分析とは相容れないもののように思えるが、論理的分析によって芸術作品に対する味わいが増すというのは意外だった。
他にも対話、説明、記録などなど、様々な項目に対するトレーニングが書かれている。それぞれの場面に遭遇したときに本書を見直し、実践しながら徐々に身につけていくのがよいだろう。

また、言語技術の必要性について書かれた章も興味深い。

言語技術(Language arts)とは、世界の多くの国々で実施されている言語教育を指します。これはヨーロッパ、北米、南米、アジア(英語圏)、中近東、アフリカなど、世界の多くの国々で幅広く実施されているため、世界基準の言語教育と言えます。

(p.4)

欧米の人たちは議論やプレゼンが上手だと常々感じていたが、その理由はこの辺りにあるのかもしれない。
一方で、日本の国語教育どうだろうか。少なくとも自分はこのような教育を受けた覚えはない。日本の国語教育の内容が上記の国々の国語教育と違うのは、目標としているところがそもそも違うからなのかもしれない。しかし、グローバル化を目指すのであれば、こういった言語能力を向上させる系統的なカリキュラムを増やしてもいいのではないかと思う。