悪文など読むな
- 作者: ショウペンハウエル,Arthur Schopenhauer,斎藤忍随
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1983/07
- メディア: 文庫
- 購入: 27人 クリック: 297回
- この商品を含むブログ (175件) を見る
ドイツの哲学者アルトゥル・ショウペンハウエルの作品「余録と補遺」の中の3篇を収録したもの。この本を手にとったのは、その中の1篇「読書について」が、最近紹介した学び続ける力で言及されていたからでした。その「読書について」を読んでみましたが、想像以上に刺激的でした。
読書は、他人にものを考えてもらうことである。(中略)ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、しだいに自分でものを考える力を失っていく。
大雑把に言えば、「読書をするとバカになる」と。確かに、自分のことを振り返ってみると、単なる乱読では何も身につかず、時間の浪費だけで終わってしまったことがあります。彼の指摘は耳が痛いです。
また、ショウペンハウエルは巷にあふれている書籍・新聞を「悪書」と言ってバッサリ切り捨てています。
良書を読むための条件は悪書を読まぬことである。人生は短く、時間と力には限りがあるからである。
現在では書籍や新聞以外にも、テレビ・ラジオ・インターネット等々、情報を発信している媒体は増え、その情報量は19世紀とは比べ物にならないものになっています。しかし、19世紀に発せられたショウペンハウエルの言葉は、現在においてこそより一層重みを増して響く言葉となっています。
溢れかえっている情報との付き合い方を考える上で「読書について」は一読しておくべき名文です。
というわけで、みなさんもこんな悪文を読んでないで名文に触れる時間を増やしましょう。